石垣の博物館

金沢城は、石垣の博物館とも称され、文禄・慶長年間の築城初期から廃藩まで各時代の様々な石垣が良好な状態で残されています。石材は主に城の南東約10㎞の戸室山から産する戸室石が使用され、赤みがかった灰色の「赤戸室石」と青みがかった灰色の「青戸室石」による色彩のコントラストが美しい石垣景観を生み出しています。また、玉泉院丸庭園の色紙短冊積石垣に代表される芸術性を重視した石垣は、他の城郭では見られない金沢城ならではの魅力です。 城内では積まれた時期や場所に応じ様々な石垣が見られますが、石積みの技法は大きく3種類に分けることができます。

自然石積み
自然の石や粗割りしただけの石を用いて積む技法で、東の丸周辺など古い時期の石垣に見ることができます。

粗加工石積み
割石をさらに加工した切石を用いて隙間なく積む技法で、出入口など重要な部分の石垣に見ることができます。

切石積み
石を方形に整形し、隙間なく積み上げる技法。美観を重視し、門や庭園など人目につく場所に使われます。

明治時代以降の変遷

金沢城で見られる多様な石垣の一部をご紹介します。城内には石垣の見どころを巡るコースが設定されていますので、石たちのささやきに耳を傾けて魅力を実感していただけます。

色紙短冊積み石垣

玉泉院丸に面した石垣群は、庭園の構成要素として趣向を凝らした切石積みの石垣が見られます。中でも色紙短冊積み石垣は、石垣の上部に滝を組み込んだ特別な石垣です。滝口にはV字形の石樋をしつらえ、色紙形(正方形)の石材や短冊形(縦長方形)の戸室石を段違いに配し、城郭石垣の技術と庭園としての意匠が見事に融合した金沢城ならではの傑作とされています。

石川門石垣

石川門の枡形内の石垣は、枡形の正面が切石積み、左側面が粗加工石積みで積まれ、同じ場所で違う積み方をした巡らしい例です。石材の表面には大型の刻印が見られます。

三十間長屋石垣

切石積みの技法の一つで、表面の縁取りだけをきれいにそろえ内側を粗いままにしておく「金場取り残し積み」の技法が用いられています。
西面の石垣には正六角形の石や縦使いの石など、意匠性に富んだ配石が見られます。

土橋門石垣の亀甲石

切石積みの石垣組み込まれた六角形の石「亀甲石」は、水に親しむ亀を表したもので、防火の願いが込められています。

尾坂門の石垣

城の大手にあたる尾坂門の石垣は、鏡石と呼ばれる大型の石が組み込まれる鏡積みで積まれ、城内の石垣でも最大の石が使われる風格ある意匠が特徴です。

東の丸北面石垣

東の丸一帯の石垣は自然石積みの技法で積まれ、前田利家や利長時代の初期の金沢城の姿を伝える数少ない貴重な石垣です。